「ふるさと納税の返礼品がお金でもらえる」

そんなうたい文句でふるさと納税を呼びかけるサイトが、寄付予定先として自治体の名前を勝手にHPに掲載していました。

名前を出された自治体は「腹立たしい限り」と批判。
総務省も「ふるさと納税の趣旨とは違っている。制度の想定外で今後、業者に直接趣旨を確認する」としています。


ふるさと納税をキャッシュに

“ふるさと納税の返礼品を受け取らない代わりに、寄付金額の20%の現金を受け取ることができる”

8日、ふるさと納税サイト「キャシュふる」が立ち上がりました。

HPの説明によると、寄付したい人と自治体の間をサイトが仲介。
返礼品を受け取る権利を販売し、その売り上げから寄付額の20%の現金を寄付した人に渡すとしています。

寄付者に代わり、運営会社が自治体に直接申し込むため、手数料を自治体からではなく寄付者から取るといいます。

寄付したお金は、通常のふるさと納税と同様、寄付金控除の対象となるほか、控除や還付に関する手続きもほかのポータルサイトと同様のやり方で行うことができるとしています。

「なぜ掲載されたのか」自治体は対応追われる

サイトでは300万円分募集するとあり、寄付予定先として
▽佐賀県上峰町
▽新潟県魚沼市
▽宮崎県宮崎市の名前が挙げられていました。

しかし、いずれの自治体も「キャシュふる」から事前の連絡はなく、自治体からは名前を挙げられたことに当惑の声があがっています。

このうち宮崎市の担当者には8日夕方、総務省から問い合わせがありました。
このため担当者が「キャシュふる」に対し、自治体の名前を削除するようメールで依頼したところ、しばらくしてホームページ上から名前が消え、9日になってお詫びの電話がかかってきたということです。

宮崎市の担当者
「業者は『返礼品を見て選んだ』と言っていたが、当市は全国ランキングでトップ5に入っているわけでもなく、なぜ掲載されたのかわからない」

「業者が寄付者の依頼を受けて手続きを仲介することはほかのポータルサイトと同じように仕組み上は可能だ。ただ、返礼品を別の人に販売するために送り先の変更を業者が代行することは想定していなかった」

魚沼市は市のホームページに注意喚起の文章を掲載しました。

「当市が当該サイトの運営会社に対し、当市の掲載を依頼した事実はございません。当該サイトにて寄附の申込をされた場合にいかなるトラブルがあっても、当市では一切責任を負えませんのでご注意ください」などと呼びかけています。

新潟県魚沼市の担当者
「驚き、当惑している。このやり方がよいか悪いかは総務省の判断でこちらは判断しかねるが、一見するとふるさと納税の趣旨に反するようなやり方だと思う。当市の名前が入っていることで、積極的に関わっている印象を持たれることは怖い」

佐賀県上峰町には、9日朝、総務省から問い合わせの連絡があり、掲載に気付いたといいます。

佐賀県上峰町の担当者
「業者から事前の連絡はなく、おそらく勝手に名前を使われたのだと思う。腹立たしい限りだ」

業者は謝罪 返金へ

「キャシュふる」の運営会社は、「寄付の予定先」として掲載した自治体との提携や協力などはなかったとして、自治体名をサイトから削除。

9日、ホームページ上に、お詫びの文章を掲載しました。

委託を受けているのではないか?といった誤解を招くような表示となり、各自治体様、関係各所の皆様、ユーザー様に多大なご迷惑をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます

なぜ寄付先として特定の自治体の名前を掲載したのか。NHKの取材に対し、運営会社は…

キャシュふる 運営会社担当者
「ふるさと納税に前向きに取り組んでいると思った自治体を寄付の候補先として例示した。見る人によっては『自治体と提携している』などと誤解を与えたと思い、削除したが、そうした反応が出るとは思わなかった。リスクについては思慮すべきだった」

運営会社によると寄付は満額に達したとして、現在、受付を停止していますが、寄付者に誤解を与えたとして返金するということです。

総務省「制度の想定外 業者に趣旨を確認する」

サイトに掲載されている自治体に電話で問い合わせていた総務省。
9日、返礼品の代わりに寄付額の2割の現金を利用者に渡すというこの業者のサービスについて、急きょ対応を検討しました。

総務省の担当者
「サービスの内容を見る限り、寄付した本人に地場産品を謝礼として送るというふるさと納税の趣旨とは違っている。仲介業者が介在して金銭のやり取りが行われることは制度の想定外。今後、業者に直接趣旨を確認する」

一方、総務省によりますと、地方税法上は自治体に関する規定しかなく、今回のサービスに法令違反があるとはいえないということです。

「ふるさと納税の趣旨から外れてきている」

「キャシュふる」のサービスについて、SNS上では様々な反応があがっています。

「返礼品いらない人ならこれがドストレートな節税になるね」
「自治体ならではの返礼品を選ぶのが楽しみのひとつだと思うのですが、仕組みがおもしろい」

肯定的な意見がある一方で、慎重な意見も。

「話題化を狙ったコピーだけど誤解を生みそう」
「なんか凄いのがあったけど大丈夫なのか」

ふるさと納税の仕組みそのものに言及する投稿もみられました。

「ふるさと納税の趣旨に著しく反するが、制度のひずみを活用しているだけで問題はなさそうに見える。なんだか釈然としない」
「ふるさと納税の制度が趣旨から外れてきているので廃止した方がよいのではないか」

ふるさと納税 現状は…

ふるさと納税の寄付額は年々伸びていて、2020年度には過去最多のおよそ6725億円。

2021年度に制度を利用して控除を受けた人も過去最多の552万人あまりとなっています。

ふるさと納税をめぐっては、返礼品の豪華さを競う自治体間の競争が激しくなったことを受けて、総務省は2019年に返礼品を地場産品に限り、調達価格を寄付額の3割以下とする法改正を行っています。

総務省によりますと、返礼品の調達以外にも送料や事務費用などがかかるということで、そうした寄付を募るための経費が2020年度は寄付金額全体の45%を占めたということです。

サービス開始の理由について業者は…

サービスを始めた理由について「キャシュふる」の運営会社は…

キャシュふる 運営会社担当者
「1割の人しかふるさと納税をしておらず、返礼品ではない新しい選択肢を提供することでより多くの人に制度を活用してもらいたいと思った。ポータルサイトへ多額の広告費や手数料を支払っている自治体の現状をなんとかしたく、問題提起も含めて提供開始に至った」

今回、サービスを始めるにあたり、運営会社は、顧問弁護士と第三者弁護士に法的な問題がないか確認を行ったといいますが、総務省には確認しなかったということです。

一業者が始めた新たなサービスをめぐり、ふるさと納税のあり方が再び議論となっています。

(ネットワーク報道部 村堀等 馬渕安代 おはよう日本 馬渕茉衣)



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